【2011年度合宿報告】2日目 午後の部

<スポーツ大会>

独文合宿といえば、毎年恒例のスポーツ!
今年は2チームに別れてソフトボールをやりました。
最初はやる気満々だったのは某主任だけでしたが、始まれば野球経験者も初心者も楽しく一生懸命にやってました。
ちなみに私は本気のあまり足の皮が5㍉ほど剥けてしまいましたが、無事復活しましたよ。^^

いやぁ、張り切ってフルスイングで空振りをしていた主任の精悍な横顔は忘れられません。

こんな非常に独文らしいスポーツ大会(?)でした。

皆さん、一生懸命なのは良いことですが、無理せず筋肉痛に気をつけましょう。

文責 4年藤本



<学部生発表1>
発表者:曽根昌之
テーマ:トーマス・ベルンハルト「ふちなし帽」について



合宿から大分日がたってしまいましたが、素晴らしい発表の数々に思いを馳せつつ、思い起こしつつ、報告させていただきます。

曽根くんの扱った「ふちなし帽」は、奇しくも、去年香山くんが発表した「イタリア人」と同じくトーマス・ベルンハルトの作品です。偶然とはいえ、2年連続で同じ作家が取り上げられるということは、ベルンハルトの作品がいかに開かれたテキストであるかを物語っていると言えるでしょう。
開かれた、解釈可能性の幅が広い作品ですから、当然様々な角度からのアプローチが予想されます。そして今回の曽根くんの発表は、そうした我々の期待に違わぬ非常にユニークなものでした。
まず、「ふちなし帽」が“手記モノ”であることに注目し、同じく手記モノである魯迅狂人日記」と比較するという、アクロバットな論理を展開。「狂気」という共通性があるとはいえ、ここで魯迅を挙げるところに曽根くんらしさが伺えます。
<ふちなし帽>をかぶる村の人々と、かぶらない自分、狂っているのはどちらなのか。狂気を装いつつ冷静に自己を観察している主人公の批評性に注目しつつ、議論の核は<ふちなし帽>自体に移ります。

そもそも<ふちなし帽>とは何なのか。

「なぜ帽子である必要があるのか。靴ではだめなのか。」「ヨーロッパで帽子屋は職業病で気違い扱いされたらしい」「ふちなし帽はナチスの象徴では」

等々…。都合により省略しますが、質疑応答を含め後半は大いに盛り上がり、発表者である曽根くん自身も当初の意見を多少改めざるを得ないほどの鋭い意見もいくつか。侃侃諤諤と各人の意見をたたかわせました。

最終的には、「つなぎが大雑把」「もう少し魯迅の作品について丁寧に踏み込むべき」「論拠が弱い」など、先生方からいくつか指摘をいただきつつも、時間を大幅にオーバーしての白熱した議論を巻き起こした今回の発表は、成功を収めたといっても過言ではないはずです。
私個人としては、卒業論文で同じく“手記モノ”を扱った身として、とても興味深く拝聴致しました。改めてベルンハルトへの興味を掻き立てられた発表でした。

文責:5年 宮田

<学部生発表2>
発表者:吉田智子
テーマ:ファウスト伝説と悪魔の表象 

 思えば彼女の悪魔論は、すでにあの瞬間から始まっていたのかもしれない。それは発表の数時間前、私が山本先生の華麗なテニスプレーを鑑賞していた時のこと、彼女はこうつぶやいたのだ。「“幽霊”って何なんだろうね」

 本発表において吉田は、ファウスト伝説を題材にした4つの作品を比較することによって、悪魔の表象が時代ごとに移り変わっていくことを指摘した。
 まず初めに「神学上の悪魔・民間信仰の悪魔・表現上の悪魔」の存在について説明したうえで、ファウスト伝説作品の比較が始まった。時代が古いものから順番に紹介していくのであるが、それぞれの悪魔の表象は次のように変わっていくと彼女は考える。

  1.『ヨーハン・ファウストゥス博士のヒストリア』
    宗教的、社会的な混乱の時代→悪魔は生々しい恐怖の対象

 →2.マーロウの『フォースタス博士』
    人間的なむら気のある悪魔→すでに悪魔は「絶対悪」の象徴から離れている

 →3.ゲーテの『ファウスト
    信仰、迷信の時代から表現の時代へ
    誰もが悪魔を信じない時代  →悪魔はもはや脅威ではなく、「物語」の登場人物

 →4.人形芝居の『ファウスト博士』
    悪魔はむしろジョークの対象 

そして最後に吉田は、「たとえ悪魔が信じられない時代になったとしても、悪魔というイメージは残っている。」と強調した。これはあのテニスコートでのつぶやき、「“幽霊”って何なんだろうね」にもつながる。悪魔や幽霊、すなわち、もう信じられていないのにそのイメージがいまだに残っているものたち。そこに鋭く着目し、一つ一つの作品を丁寧に読み比べることによって、今回のような大変わかりやすく興味深い悪魔論が完成したのだ。

黒板にシンプルかわいい絵を描いたりしながら発表をした吉田であるが、発表後に「議論したいやつは飲み会で相手してやる」と言い放つような男前の一面もある。どこか人間離れした、四次元の妖精のようなオーラのある彼女の、また新たな魅力が垣間見えた。

文責 3年菅野

<飲み会>

学部3年生による発表とその後の活発な質疑応答が終わると、お待ちかねの飲み会です。
1日目はゼミ室で、2日目は座敷付きの宴会会場にて行いました。

新年度開始直後の合宿だったこともあり、顔合わせもかねてということでまず1日目は簡単な自己紹介から。独文に進学したばかりの新2年生の皆さんをはじめとする学部生だけでなく、学士入学された方や普段の授業ではなかなか顔を合わせる機会の少ない院生の方々などなどが、それぞれバラエティに富んだ自己紹介をしてくださいました。

何よりも懸念されたのはお酒が足りるのか、という問題でしたが、案の定1日目で総量の70%ほどが消費されてしまいましたので、2日目に買い出しに出かけさらにビール、ワイン、焼酎usw.を追加することに。

2日間でこれだけの量のお酒を飲んだのか、と考えると自分含め独文の皆さんの肝臓が心配になりますが、それだけ盛り上がった飲み会であったといえるのかもしれません。

文責 3年鳥山