【2011年度合宿報告】2日目 午前の部

<山本先生勉強会−『Die Götter Griechenland』講読 >

今年の山本先生の勉強会では、当日の天候が穏やかだったので、教室ではなく外に出て芝生の上でゆったりとした雰囲気の中、シラーの『Die Götter Griechenland(ギリシアの神々)』を講読しました。量が多いため今回取り上げたのは最初と最後の5連程でした。詩というだけあって訳すのが難しく、皆苦労していたようですが、予習をしている人がほとんどだったので授業は滞りなく進み、活発な議論が行われました。

『Die Götter Griechenland』はその名の通り、ギリシアの神々を賛美し、人間と自然が融和していた時代への憧れが歌われている、シラーの古典主義の始まりを告げる詩です。議論の対象となったのは主に、この詩の持つキリスト教の批判性、あまりに直接的すぎると思われる表現などで、勉強会の終盤にはシラー個人の性質にまで話が及びました。結局、予定時間内に終わらず、昼食後に再び集合したのですが、皆充実感を持って勉強会を終えることができたと思います。

文責 2年小野寺


<藤井先生勉強会>

合宿二日目の藤井先生の勉強会ではフランスの批評家,作家ロラン・バルトRoland Barthes,1915-80年)の「記号学の原理(1964年)」を日本語訳で読みました。

勉強会は、あらかじめ参加を表明していた方達の間で章ごとに担当が分担されており、その方たちが担当章の内容の要約を発表、その後、分からなかった箇所の質問や意見交換を行うという順序で章ごとに進みました。少し難解な箇所も藤井先生の明確な例えを用いた解説があったので、少なくとも一人で読んだ時はさっぱりで全く読み進められなかった私でも理解できました。
記号学の原理」は記号が表す意味と記号そのものの関係、記号が一般化する過程、付加価値という存在、記号同士の繋がり等を一つずつ検討していき、それらの構造がファッションや食料などそのほかのことにも応用できるかという試みの過程が書かれています。記号に見られる構造を分類して検討する過程は難解な用語がたくさん出てくることもあり、難しかったのですが、構造を身近なものにあてはめ、検討することできるという事が議論を活発にしていました。また、1964年に書かれたこの論文は現在にも通用するのか、というのも一つの議論の対象になっていたと思います。
本論文の筋を読み進めながら議論を進めたので論文の筋と発言が密接にかかわりあっており、幾つか報告すると言う事が出来ないのですが、さりげなく言った誰かの一言が検討の対象になったりしてあっという間に時間が過ぎていました。
机を一箇所に集め大きな机を作り、周りに皆が坐るという形で勉強会を行ったので、発言のしやすい環境でした。議論そのものは白熱といった盛り上がりは見せませんでしたが、各人が自分の身近なものに構造をあてはめて考えている事がちらほらとする発言から伺え、興味深かったです。

文責 2年山口


<シャイフェレ先生勉強会>

今年のシャイフェレ先生の勉強会では、カフカの「vor dem Gesetz(掟の前で)」を読みました。
今年は2年生が多く参加してくれたこともあり、例年よりもだいぶ読みやすく馴染みのあるテキストでした。

まず最初に一人ずつ本文を読み上げ、その後でシャイフェレ先生が質問に答えてくださるという形式。発音の指導を受けながら何とかドイツ語を読み終え(途中演技指導有り)、質問の段階になると様々な意見が出されました。

・門番は最終的に役目を果たしたのか
・テキスト内の登場人物たちの権力構造
・男は歳をとっていくのに門番は何も変わらない
・門番は門の内側と外側のどちらにいるのか

などなど、上記はほんの一例ですが、こういった点をシャイフェレ先生が丁寧に説明してくださいました。
受講者の様子を見てジェスチャーを交えて下さったり、個人の興味や関心に即して説明して下さったり。おそらく先生ご自身にとってはなかなか大変だったことと思いますが、教えていただく側としては有難い限りでした。


また途中で勉強会中の写真を撮ろうとすると、「待って」と言ってどこからか櫛を取り出し身だしなみを整えるなど、お茶目な一面も見せて下さいました。まだシャイフェレ先生の講義を受けたことのない2年生にとっては、先生の雰囲気を掴むいい機会だったのではないでしょうか。

文責 4年 馬場