卒業論文構想発表会【2011年10月22日(土)】

早稲田大学文学部ドイツ語ドイツ文学コースでは、2011年度卒業論文提出予定者による卒業論文の中間報告を下記の要領で開催いたします。ぜひ足をお運びください。
日時:2011年10月22日15時30分〜
場所:早稲田大学戸山キャンパス33−2号館(プレハブ校舎)2F 第二会議室
※会場が変更になりました。変更後の会場:31-102教室

プログラム
1.日本とドイツ――敗戦した同じ歴史を持った二つの国から考える歴史教育

発表者:ジョ・ヨンウン(文学部ドイツ語ドイツ文学コース)

私の卒業論文のテーマは、ドイツと日本の歴史教育の比較である。第二次世界大戦後から現在までのドイツの歴史教育の展開について調べ、ドイツの歴史教育の変化と特徴を述べる。それから日本とドイツとの歴史教育はどのような相違点があるかを明らかにし、その相違点や特徴から日本の歴史教育の問題点は何かを考え、ドイツの歴史教育から何を学べるかについて考察する。

この論文では第二次世界大戦後から東ドイツと西ドイツの統一前までの歴史教育を1970年代の東ドイツと西ドイツの歴史教科書を用いて記述を比較することにより考察する。それから学習指導要領と現在使われている教科書それから国際歴史教科書対話についての資料を持ち、ドイツの統一後から現在までの歴史教育の変化を調べる。

今回の発表では第二次世界大戦後から現在までのドイツの歴史教育の変化を中心とし、それから日本の歴史教育との比較を少し加えたいと思う。

2.公立劇場における文化政策の日独比較――市民が集う劇場を目指して
発表者:福原麻梨子(文学部ドイツ語ドイツ文学コース)

丸本先生のゼミで7月に発表させていただいたものに肉付けをしたものを発表します。日本とドイツの公立劇場にまつわる文化政策を、まず国単位で比較(予算、施設数、職員内訳、上演内訳、チケット料金など)し、制度の違いなどを明確に示し、次に具体的な都市−ドイツのボン市と日本の(生まれ故郷の)久留米市−を対象に比較したうえで日本のこれからの課題など見えてきたことを述べたいと思います。さらに「文化の担い手としての市民」の意識の日独の違いや、文化的取り組みとして、実際にボン市久留米市で行われていることや、久留米市の場合は市民演劇の活動なども気になるので、それまでに取材できれば紹介したいと思います。

3.『トニオ・クレーゲル』の主体の構造

発表者:井上晴樹(文学部ドイツ語ドイツ文学コース)

『トニオ・クレーゲル』は二つの主題の織りなすソナタ形式をとっているように読める。トーマス・マンの多用する北と南、生と精神の二項対立だ。しかし私はテクストを詳細に辿ることで、この形式によって隠蔽されるすり替えを指摘しようと思う。ソナタ形式で言うところの提示部では北・父・市民と南・母・芸術の対立が示されるが、展開部で初めて登場する生と精神の対立にそれはすり替えられ、実際には少なくとも三つの項があるにもかかわらず、二項対立の形式を貫徹するために強い違和感を残している。

この分析をさらにメタ批評にかけようと計画している。トニオの首尾一貫した主体を前提として、矛盾を解消していく読みのあり方は反省し直されなければならない。そこでの所与が暴かれなければならない。これには主体と行為の関係を逆転させたニーチェの指摘と、ジュディス・バトラーの論旨が援用される。『トニオ・クレーゲル』の攪乱的起爆力を読みだすことが最終的な目標となる。

4.かつての世界都市は

発表者:吉岡あすか(文学部ドイツ語ドイツ文学コース)

激動の近現代史の生き証人ともいうべきベルリンを通して、思潮の変遷を追う。

5.未定

発表者:笠井理央(文化構想学部現代人間論系)

※笠井理央氏の発表は本人のご都合により中止となりました。

文責:助手

トニオ・クレエゲル (岩波文庫)

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ジェンダー・トラブル―フェミニズムとアイデンティティの攪乱

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