第2回独文研究発表会の報告

6/12(土)に第2回独文研究発表会がありましたので報告です。

参加者(途中入退場含む):大久保先生、シャイフェレ先生、藤井先生、山本先生、小野寺助手、荒井さん、北村さん(院生)、齋藤、川本、吉岡、笹山、西村(4年生、敬称略)、佐藤、井上、金、岡添(文ジャ)、香山(3年生、敬称略)、鳥山(2年生)




発表者:
宮田(4年幹事)「Max Frisch—『Stiller』をめぐって—」
「ぼくはシュティラーではない!」から始まるこの作品の面白さは(大久保先生からの指摘がありましたが)アイデンティティーの問題を問うているところにあるのではないかと思います。自分というものを証明するには?という問いが作品中にいくつか出てきますが、読者もその問いについて考えなければいけないわけです。
でも!今回の宮田さんの発表は『Frisch』の新たなアクチュアリティーを見出した発表でした。
作品の物語構成の指摘から始まり、作品中に出てくる「肖像」に重点を置いて、作品中に見られる「肖像」を、様々な角度から分析してくださいました。また、絵画的な部分や「わが天使」が作品中で占める位置づけについてということにも触れてくださいました。先に述べた『Stiller』におけるアイデンティティーの問題に対しては、「他でやってるから自分は違う視点から見てみたい」という宮田さんらしい頼もしい発言が出たり、卒論中間発表ということでしたが、これはますます卒論に期待していいのではないかと思います。


沼田(4年Mr.Dokubun)「神々の黄昏—トーマス・マン魔の山』試論—」
この作品は主人公ハンス・カストルプがいとこを訪ねダヴォスにあるサナトリウムにお見舞いに行くのですが、そこでなんと自分が病気になってしまいずっとそのサナトリウムに滞在しなければいけなくなる。そこでのカストルプの人間形成が主な内容となっています。そこでは抽象的議論をする2人の男性やカストルプが夢中になる女性との関係など内容盛りだくさんな作品です。この作品を論じるのは非常に難しいと思って、なぜなら内容が多い分どこを切り口にするか、攻めどころが多い分いかにまとまった発表ができるかと思ったからです。
「エロス/愛の問題」を軸とした主要登場人物それぞれに焦点を当てた丁寧な分析を出発点に、カストルプの成長過程での重要となるテーマについて、そして作中最後に出てくる戦争に焦点を当て、『魔の山』における戦争の意味について論じてくださいました。
ワーグナーの『神々の黄昏』と『魔の山』における戦争の関連性に触れていたのですが、なんとこのことは(オリジナルなテーゼとしては)世界で3番目に指摘したということ(日本では沼田くんが最初)。僕個人の感想なのですが、沼田くんの今回の発表は、軸を定めつつその周りを丁寧に分析し、最後に一気に止揚させるという非常に音楽的で素敵な発表でした。





ところで、今回の発表会はとにかく時間にルーズ過ぎたということがあります。コピーカードが残り少なくなってたというハプニングがあったり、会議室は半日予約していたので時間をあまり気にしていなかったため、当初の予定が大幅に遅れてしまいました。先生方は大目に見てくださっていたようですが、やはりみなさまわざわざ(土曜日なのに!)時間を割いて来てくださっているので、時間は厳守!
と、いうことで7月の合宿発表は発表時間も含め予定通りに進めるようにしましょう(もちろん、ガチガチではなく)。
それと、今回の発表の宣伝は自分なりにしたつもりだったのですが、発表会があることなんて知らなかった!という声もありました。なので、やはりベルンハルト的に「徹底的に」宣伝しなくちゃと思う今日この頃です…。


発表後は独文恒例「舟○や」での飲み会でした。藤井先生が誕生日だったということもあり、ケーキとプレゼントで学生一同でお祝いをしました。お誕生日おめでとうございます!

最後に…小野寺助手がベルリン出張のためデジカメがなく、写真をUPできません。発表の模様を見たい方は後日UP致しますので、助手の帰国を心待ちにしてください。

文責:香山