山本定祐教授の最終講義

2月2日、山本定祐教授の最終講義が文学部の36号館581教室で行なわれました。題目は、「ドイツ・ロマン派の美学」。開始予定時間の5分ほど前に行ってみると教室は満員に近い状態で、すでに熱気に包まれておりました。現役の学生達や先生方のみならず、卒業生、すでに退職された先生、山本先生と学生時代に同期だった方などもお見えになり、山本先生の人望の厚さを改めて感じさせられました。

先生が長年にわたって取り組んでこられたフリードリヒ・シュレーゲルの前期についての講義だったのですが、不勉強な門外漢の私にも非常にわかりやすい、懇切丁寧なお話でした。お話の中で先生は、ご自身の学生時代のこともお話くださいました。文学を研究するのであれば自らも実際に筆を執ることが不可欠だと考えた先生は、文学作品の創作をされていたのだそうです。つまり、理論や理屈だけでなく「実践」というものを常に頭の中に置かれていたというわけです。このお話に私は非常に感銘を受けました。「なぁんだ、そんなことか」とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、何を研究するにせよ、忘れてはならないことだと私は思いましたので、講義の詳しい内容についてはご専門の近い方に譲りますが、このお話は敢えてこの場でご紹介させていただきました。

講義に引き続いて独文科おなじみの居酒屋「かわうち」で懇親会が催されました。貸し切りの店内は山本先生の退職を惜しむ人で溢れており、こちらもまた熱気に包まれた会であったことは申し上げるまでもありません。(山崎雄介